『となりのトトロ』には、ファンの間で語り継がれる幻の続編があることをご存知でしょうか。その名も『めいとこねこバス』。わずか14分間のこの短編映画は、誰もが知るあの物語の、心温まる後日譚を描いています。
私がこの作品の存在を知った時、いてもたってもいられなくなり、鑑賞するためだけに三鷹の森ジブリ美術館へ足を運びました。この記事では、私が実際に鑑賞して感じた『めいとこねこバス』のあらすじや魅力、そして気になる上映スケジュールについて、余すところなくお伝えします。
『めいとこねこバス』とは?|14分間の特別な物語

『めいとこねこバス』は、2003年に公開されたスタジオジブリ制作の短編アニメーション映画です。原作・脚本・監督を宮崎駿監督が務め、音楽はもちろん久石譲さんが担当しています。多くの人が気になる「トトロとの再会」という夢を叶えてくれる、まさにファンにとって宝物のような作品です。
あらすじ|メイと小さな友達の夜の冒険
物語は、風の強いある日、主人公のメイが庭でキャラメルを食べているところから始まります。すると、生きているかのような不思議なつむじ風が現れ、メイはそれを捕まえて家の中に閉じ込めます。
つむじ風の正体は、親とはぐれた小さな「こねこバス」でした。メイが怖がるこねこバスにキャラメルを差し出すと、二人はすぐに仲良くなります。その夜、お礼を言いに来たこねこバスは、メイを夜空の冒険へと誘うのでした。
二人乗りの小さなこねこバスに乗り込み、夜空へ飛び立つと、そこには驚きの光景が広がっていました。バスや列車のかたちをした、たくさんのネコの乗り物たちが大行列を作って飛んでいたのです。彼らの目的地は、かつてメイがトトロと出会った巨大なクスノキ。そこでは、トトロやまっくろくろすけなど、森の精霊たちが大集合していました。
登場キャラクター|懐かしい顔ぶれと新しい仲間たち
この作品には、おなじみのキャラクターと、本作でしか見られない新しい仲間たちが登場します。
キャラクター名 | 特徴 |
草壁メイ | 主人公。好奇心旺盛で心優しい4歳の女の子。 |
こねこバス | 本作のもう一人の主役。足が6本で子猫のような鳴き声。 |
トトロ | メイの友達。サツキにもらった傘を大切に持っている。 |
ネコ列車・ネコバス | 精霊たちの乗り物。様々な形や大きさのものがいる。 |
ネコバアちゃん | 豪華客船のように巨大な、ネコバス一族の長老。 |
ススワタリ | まっくろくろすけ。精霊たちの集会に参加している。 |
特に注目すべきは、宮崎駿監督自身がトトロと、新キャラクターであるネコバアちゃんの声を担当している点です。作品への深い愛情が伝わってきます。
私が感じた『めいとこねこバス』の魅力|感想レビュー
私がこの短編映画を観て、心から素晴らしいと感じた点と、少しだけ残念に思う点を正直にレビューします。作品を鑑賞する際の参考にしてください。
メリット|『となりのトトロ』の世界が広がる喜び
最大の魅力は、『となりのトトロ』の世界がさらに豊かに広がっていくのを実感できることです。ネコバスが単独の存在ではなく、こねこバスやネコバアちゃんといった家族や仲間がいる一個の種族だったという事実は、大きな驚きと喜びを与えてくれます。
メイがトトロと再会するシーンは、まさに感涙ものです。サツキの傘を大切に持っているトトロの姿を見て、彼らの友情が続いていることを確信し、心が温かくなりました。物語全体が優しさと喜びに満ちており、観終わった後には幸福感に包まれます。
デメリット|観たくても観られない希少性
この作品の唯一のデメリットは、その希少性にあります。観たいと思っても、誰もが簡単に鑑賞できるわけではありません。DVDやBlu-ray化されておらず、動画配信サービスでの取り扱いも一切ないのです。
鑑賞できる場所が限られている上に、上映スケジュールも不定期です。この「限定公開」というスタイルが作品の価値を高めている側面もありますが、遠方でなかなか行けないファンにとっては、もどかしく感じてしまう点でしょう。
ジブリ短編『めいとこねこバス』の上映スケジュールと視聴方法
『めいとこねこバス』は常時公開されているわけではなく、三鷹の森ジブリ美術館とジブリパークの映像展示室で、他の短編作品と入れ替わりで上映されます。
鑑賞できる場所は2ヶ所だけ
この貴重な短編映画を鑑賞できるのは、世界でたった2ヶ所だけです。
- 三鷹の森ジブリ美術館(東京都三鷹市)|映像展示室「土星座」
- ジブリパーク(愛知県長久手市)|ジブリの大倉庫内 映像展示室「オリヲン座」
これらの施設以外で上映されることはなく、前述の通り、映像ソフト化やインターネット配信も行われていません。まさに、現地へ足を運んだ人だけが体験できる特別な贈り物なのです。
ジブリ美術館での上映
風のつよい日、メイがキャラメルを食べていると、つむじ風があらわれ、追いかけてきました。
— 三鷹の森ジブリ美術館 Ghibli Museum, Mitaka (@GhibliML) February 7, 2025
メイはつむじ風をつかまえます。つむじ風の正体はコネコバス。
……という短編映画『めいとこねこバス
』を、2月中上映しています。
こねこだから、まだ1人乗りのコネコバスです🐈⬛ pic.twitter.com/WfjNjU8iy2
『めいとこねこバス』は、三鷹の森ジブリ美術館の映像展示室「土星座」で不定期で上映されます。
ジブリパークでの上映
ジブリの大倉庫「映像展示室オリヲン座」では 2024年12月14日(土)~2025年1月31日(金)の間 短編アニメーション『めいとこねこバス』を上映します。
— ジブリパーク GHIBLI PARK (@ghibliparkjp) October 9, 2024
上映作品はこちらhttps://t.co/UiTcz1LaGW
12月分のチケットは明日10日14時発売です。 pic.twitter.com/isslNnXtq3
ジブリパークの「映像展示室オリヲン座」でも期間限定で上映されます。
まとめ

『めいとこねこバス』は、単なる『となりのトトロ』の続編ではなく、ファンの心に寄り添い、物語の世界をさらに深く、温かく広げてくれる傑作です。その鑑賞体験は、作品の希少性も相まって、忘れられない思い出となります。
鑑賞への道のりは少し険しいかもしれませんが、それだけの価値は間違いなくあります。メイとこねこバスが繰り広げる、夢と喜びに満ちた14分間の冒険を、ぜひあなた自身の目で確かめてみてください。